今回のガンバルエンサーは、多摩美術大学芸術学科2年生の上野なつみさん。大学1年生のときにフリーマガジン「PARTNER(パートナー)」の編集長を務め、現在は美大生の合同展覧会「THE SIX(ザ・シックス)」の運営代表として活動している。
-自己紹介をお願いします。
多摩美術大学芸術学科2年の上野なつみといいます。
美大生のフリーマガジン「PARTNER(パートナー)」の制作委員会で、4月まで編集長をやっていました。今は、美大生の展覧会「THE SIX(ザ・シックス)」の代表として運営をしています。
-「PARTNER(パートナー)」とは?
「PARTNER」は、2007年4月に創刊した、美大生による美大生のためのフリーマガジンです。企画・取材・デザイン・編集など全て美大生の手でつくられています。発行部数は30000部で、配布作業もトラックを借りてきて自分たちでまわっているんです。
※美大生の作品が表紙になっている。ページ内のデザインもクオリティが高い。
-広告をとるのは大変じゃないですか?
広告は、最初とても大変だったんですが、美大のフリーペーパーが他にないというのが幸いで、美大生に告知したい企業がよく出してくれるようになりました。
AdobeやAppleなど美大生にシェアの高い企業や、絵の具とかフォントをつくっている企業など・・・。絵の具の広告とか、ここに出さずにどこに出す!って感じは確かにありますよね(笑)
「PARTNER」のウリは、学生がデザインをできるところなので、タイアップの記事広告を自分たちで企画してつくっています。これは学生にとっても良い経験で、モチベーションも上がるんですよ。クレジットを入れて誰がつくったものだかわかるようにしているのもその理由です。
-「PARTNER」をはじめたきっかけを教えてください。
元々、わたしは雑誌の編集をやりたかったんです。
出版社への就職は倍率が高くて難しいと聞いていたので、まずは難関大に行くしかないと決めつけて受験しました。だけど一浪して、失敗しちゃったんですよ。
それで「どうしようか?」と考えたとき、中堅にいくんだったら、何か経験だったりスキルを持って出版社にトライしたいと思って、一応のつもりで受験していた美大に行くことを決めました。
こうなったら、支えてくれる学歴はないので、アルバイトでも何でも、実際に経験するしかないなと思っていたところ、「これから美大生のフリーマガジンをつくろう!」という告知をmixiで見て、応募しました。
いきなり入学前の1年生から応募がきたということで、かなり驚いたそうです(笑)
それから1年間、企画から全て携わってきたんですが、「PARTNER」という雑誌は、同じ人がずっと編集長をやるのではなく、いろんな学生の色が出るように変わっていっていいんじゃないかと思い、4月で交代することにしました。
-「THE SIX(ザ・シックス)」ではどんな活動をしているのですか?
「THE SIX(ザ・シックス)」は、美大生の展覧会です。
年に1回、今年は年末に代官山のヒルサイドという場所で、1週間ほど開催します。
出展するのは40団体で、各美術大学の芸術祭から選抜され、勝ち残ったグループのみ参加できます。個人の作品が多いんですが、グループで出展するものもあります。
美術の世界で食べていくのってなかなか難しくて、作家としてやっていくのはものすごく大変なんですね。制作活動に没頭してしまうと、自分の作品をどう売っていくかとか評価していくかというところまで考えられなくなってしまう。せっかくいいものをつくっているのにスポットがあたらないってことが多いんです。
だから、学生もすごくいいものつくってるんだよっていうのを社会に伝えたくてはじめました。
※2007年の様子
レセプションは完全招待制にしていて、美術関係の方や、各種メディア関係の方、憧れのアーティストなどをご招待しているんですが、実際に学生の作品に惚れ込んでパトロン的な存在になっていただいたり、個展をやらせてもらえるようになった学生もいます。
-影響を受けたものはなんですか?
高校生時代はずっとファッションエディターに憧れていて、それに拍車をかけたのが「プラダを着た悪魔」という映画でした。エディターという仕事って狂ったように働いてる印象があるんですけど、その映画を見たとき、それが苦じゃないと思ったんです。本当にかっこいいな・・・と。
実際「PARTNER」をつくっている中で徹夜続きの日というのはよくあって、でも、それをたのしくできるというのを実感しています。
-上野さんにとって、雑誌とは?
Webが出てきて、雑誌の意味合いって何なのかってところですよね。情報を発信するなら雑誌でなくていいと思っているんですよ。Webのリアルタイムに情報を発信できるし、情報発信の点ではWebのほうが優れている。
でも、人間って触感というか、ものをさわりたいっていうのが生物学的にあると思うんですよ。素材感とか光具合とか重厚感みたいなもの・・・
だから雑誌は、アートのような嗜好品というか大切にされるものになっていくんじゃないかと思います。
フリーペーパーは1回読んだら捨てちゃうものだけど、「PARTNER」はなんか捨てたくないなって、揃えたくなるようなものでありたかったし、これからもそれを大事にしていきたいです。 
-将来の夢を教えてください。
もちろん雑誌はやれたらいいなと思っています。
でも、最近、必ずしも雑誌でなくてもいいのかなと思うようになりました。
わたしのやりたいことは、美しいとか心地よいという感覚をみんなで共有したいってことなんですよね。広告の打ち方が影響するのってそういうことで、ビジュアルから訴えるものが心を動かすことは多いと思うんです。
自分もいいものをたくさん見ていきたいし、いいものに出会ったらそれを伝えたい。「メディエイター」になりたいんです。
自分がメディアになることでいいものをいいまま伝えていけたらいいなと思います。
漠然としていますが、今はそれでいいと思っています。
|
上野 なつみ(ウエノナツミ) 生年月日:1987年10月10日 出身地:東京都 大学名:多摩美術大学 趣味:写真・美術鑑賞・雑誌を読むこと 座右の銘:今を生きる |
THE SIX
団体詳細
http://www.the-six.jp/
Text By:トミモトリエ(GANBARUZINE!編集部)
トラックバック URL:
http://ganbaruzine.com/trackback/13