今回は、12月14日(日)に開催された「Student Freepaper Forum 2008」(以下SFF2008)に合わせ、GANBARUZINE!では、2週に渡って学生フリーペーパーの特集を行った。今回は、SFF2008の第3回全国学生フリーペーパーコンテストの72媒体のうち、一次審査を通過した20媒体(上位5媒体を除く)を紹介する。 また、コンテストにおいて優勝した美大生向けフリーペーパー「PARTNER」のインタビューをこちらに掲載した。
一次審査を通過した20媒体(上位5媒体を除く)
塾生旬報
【発行】塾生総合研究所 【主要大学】慶應大学 【概要】慶應大学内では言わずと知れた媒体。 塾生総合研究所では、本媒体以外にもオープンキャンパスに来た高校生をターゲットとする「CANPASS×CAMPUS」や、伝統ある慶早戦にフォーカスした「Dash!KEIO」など、複数のフリーペーパーを発行する実力派集団。コンテストには3回連続出場で、今回は例年に比べクオリティが高くなった。 |
めぐるめ
【発行】国際ビジネス研究ゼミ 【主要大学】文京学院大学 【概要】学生がつくる文京区公式タウンガイド「めぐるめ」。初エントリー。めぐるめは、商店街編と花祭り編の2分冊となっている。あわせて24万部を発行し、文京区内の店舗、公共施設、都営地下鉄構内などで主に配布している。 既存のタウン誌との違いは、公表されている資料ではなく、学生の目線ですべて生の取材を行った結果をまとめている点。フリーペーパーを手に取った人から手紙があるなど反応が良いそうだ。これも一つ、地域活性に貢献している媒体だろう。 |
ツクマガ
【発行】学生団体C4 【主要大学】筑波大学 【概要】茨城県つくば市の地域情報紙。 本年度、地域活性の点において一次審査での評価が高く、審査員特別賞が授与された。とことんつくばに関しての情報を掲載しており、目的がはっきりしている媒体である。来年以降のさらなるクオリティアップに期待したい。 |
ガクシン
【発行】ガクシン 【主要大学】立命館大学他 【概要】25年近くの歴史を持つガクシン。タブロイド型(新聞型)で、広告枠も大きい。広告営業を行う企業と、編集を行う学生という役割がしっかりと分担されており、審査員からは「既にビジネスモデルとして成立している」と評価が高い。 また、関西圏の学生からの認知度が非常に高いことも特徴である。 |
whim 【発行】立教大学whim編集部 【主要大学】立教大学 【概要】3年連続のエントリー。温かみのある媒体で、立教の学生には大変人気の媒体である。代が交代しても、クオリティ面は下がらない点から、しっかりとした運営体制がうかがえる。次号に期待する点としては、広告である。大学特化の媒体は、学校によりけりではあるが、発行部数が少なくなってしまう。たとえば、フリーペーパーの広告と別の商品をセットで売るということも必要になるのかもしれない。 |
WATCHa!!
【発行】WATCHa!! 【主要大学】北九州市立大学 【概要】福岡県北九州市の大学生向け一般情報誌。 九州からの媒体において、クオリティはトップクラス。学祭特集や、就活生向けの情報など、いわゆる学生向け一般情報誌であるが、次回以降さらにエッジの効いたコンテンツに期待したい。 。 |
WASEDA LINKS
【発行】早稲田リンクス 【主要大学】早稲田大学 【概要】第1回全国学生フリーペーパーコンテストにおいて、第四位に輝いた媒体。 写真等のクオリティも非常に高く、今回も一次審査を通過した。特徴として、毎号毎号編集するメンバーが交代するに合わせて、媒体のコンセプトも一変するところにある。 広告主としては、安定した媒体を望むが、運営側としては編集メンバーの成長のため、会えて不安定な形をとる。ここのギャップを埋める何かがあれば、文句ない媒体になるであろう。 |
TAKEWO
【発行】ホットティー株式会社 【主要大学】東京大学他 【概要】本年度初エントリー。東大、慶應、早稲田の学生にターゲットを絞った媒体。 キャリアに特化しているものの、求人媒体とは違う完全記事広告型。 掲載されている企業はそうそうたる名前ばかりである。 さらに総合情報誌のようなクオリティを保っており、高い評価を得ている。 今後は、表紙周りの広告もとれるような形が理想であろう。 |
susteco
【発行】学生団体サステコ編集部 【主要大学】日本大学他 【概要】環境サイクルマガジンというサブタイトルのついた媒体。なんと、フリーペーパーを読んだら回収し、回覧することができるという仕組みを導入している。 環境に特化している媒体で、今の時代に非常にホットな話題がたくさん掲載されている。こちらも、審査員特別賞が授与された。審査員が特に評価したのは、全国中にフリーペーパーを回収する場所を設置しているというマーケティングの点である。 環境大臣賞などの賞を受賞している成果からも、環境問題に一石を投じる存在になりつつあると言えるのではないだろうか。 |
sai
【発行】立教大学sai編集部 【主要大学】立教大学他 【概要】本号ではフィルムカメラの写真を使い、紙面の奥行き感、重厚感を求めたそうだが、その写真のクオリティは圧巻である。お菓子をテーマにした媒体で、立教大学付近のお店にフォーカスしている。昨年度より飛躍的にクオリティがあがった。その成長率だけでいえば、間違いなくトップクラスだと言える。 |
REAL
【発行】REAL編集部 【主要大学】中京大学他 【概要】東海地方を網羅した、実力派フリーペーパー。昨年度ベスト8に入っている。媒体制作にかなりの人数が参加しており、年5回、30,000部発行している。今では東海地区で一番有名な媒体だ。 配布の範囲という意味で言えば、トップクラス。独特のデザイン感にも特徴がある。次回以降、今以上に学生向けの総合情報誌として、さらなるクオリティアップに期待したい。 |
Free Walker Aoyama
【発行】青学マスコミ研究会 【主要大学】青山学院大学 【概要】媒体の表紙に、芸能人を起用していることが特徴。これまでにも、ケミストリーなど大物芸能人が参加している。マスコミ研究会というだけあって、様々な情報が様々な切り口から取り上げられている。今後は、媒体としての統一感と、中身のレイアウト、デザインのクオリティがさらに求められるだろう。 |
D'oRbyPremier
【発行】Premier 【主要大学】愛知淑徳大学他 【概要】名古屋から全国をキラキラに…をテーマとした華やかな媒体。当コンテストにエントリーした他の媒体と比較すると、コンテンツ面では一見異色にも見えるが、その注目すべき点としては、確実な設置場所の展開にある。名古屋の有名ショッピングモールのほとんどに設置されているそう。設置場所の展開、という意味ではトップクラスの媒体。 |
Cue
【発行】早稲田大学Cue編集部 【主要大学】早稲田大学他 【概要】今回優勝したPARTNERの編集長をうならせたデザイン性を持つ媒体。サイズも小さく、非常にアーティスティックである。前回のコンテストではベスト8に輝いた。また、近年早稲田以外の学生へのアプローチも強化しており、成長している媒体だといえる。大学生は、4年間というモラトリアムな時間の中で、心身共に成長するこの貴重な時期の過ごし方を、カルチャーの面から模索していくことをコンセプトにしている。 |
AGE
【発行】学生団体AGE 【主要大学】慶應義塾大学他 【概要】言わずと知れた巨大学生団体AGEの発行するフリーペーパー。学生の世界を広げる 、学生を元気にする がコンセプト。イベントとのタイアップ等も積極的で、発行部数も40,000部と多い。今後は、より中身の作り込みに期待したい。 |
SFF2008総括
本年度のSFFで最も感じたことは、「多様性」である。
地域に特化したもの、環境に特化したもの。女子大生に特化したもの、音楽に特化したもの。
エリア、性別、年齢、職業、志向などのターゲットそれぞれにおいて、非常にニッチ化が進んでいる。
しかし、一つの媒体の中で多様性が広がることも多く、この点は危険な空気も感じる。 というのも、例えば地域で発行し、地域活性を目的とした媒体とは謳っているものの、中身は一般的な総合情報誌と変わらない、という形のものが多い。
媒体として、地域活性を目指すのであれば地域活性を目指し、総合情報誌を目指すのであれば、総合情報誌を目指さすというように、方向性を運営側が一致させないと、広告主としては出稿しにくいであろう。
また、広告面でいえば、やはりどこの媒体も取るのに苦労をしている様子がうかがえる。フリーペーパー以外に、例えばイベントやセミナー、Web等の他媒体と抱き合わせで売ったり、学生のマーケティングリサーチを行ったデータと併せ売りをするなど、工夫した営業方法が必要になってきている。
企業が発行するフリーペーパーと、学生が発行するフリーペーパーでは、そもそも他のものと捉えた方がいいのかもしれない。
企業にとってはフリーペーパーは広告であり、
学生にとってはフリーペーパーは読み物なのだ。
企業は広告を見せるためにコンテンツを考え、
学生は記事を見せるために、広告を取りに行く。
全く逆のものなのである。
そのため、広告主を考えない媒体は広告を取れないのは当たり前であるし、一度出稿してもらっても継続性に欠ける。
そして運営面では方向性が一致せず、媒体の継続も難しくなる。
こういった悪循環に入ってしまうことは、往々にしてあるだろう。
フリーペーパーという業界、広告業界は社会的には下火にあるが、
学生媒体は成長する可能性をたくさん秘めている。
学生から、この業界を活性させようと目論むことすらできるかもしれない。
いずれにせよ、今回のSFF2008を通し、多くの学生がまた一歩を踏み出すことになるだろう。
今後も、学生のフリーペーパーは要注目である。
トラックバック URL:
http://ganbaruzine.com/trackback/62